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ちょっとヤバイ展開ですね……。
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意中の人(?)にベッタリな獅子座の黄金聖衣と白鳥座の青銅聖衣はそれなりに、この状況を楽しんでいる。
そして威圧的な山羊座の聖衣も、沙織から離れない。
では、他の聖衣達はどうしているのかというと……。

「困惑されているようです」
ユリティースの説明に、シャイナとジュネはさもありなんという表情をした。
天秤座の聖衣の困惑がどういうものなのか不明だが、他人に対して意思の疎通が急に可能になると、今度は何を言っていいのか分からなくなってしまったらしい。
何しろ聖衣達にとって意思表示というのは想定外の出来事なのだから。
すると沙織が立ち上がりエスメラルダを呼ぶ。
「この際ですから、双子座の聖衣と話をしてみましょう」
何がこの際なのか。
先の聖域での混乱を少しでも知っている者たちは、何が起こるのかと非常に緊張した。

「これがサガの黄金聖衣です」
沙織の説明に、エスメラルダを膝をついてしゃがんだ。
「双子座の聖衣、彼女はここにいます。彼女を巻き込まないように、細心の注意を払いなさい。今度は間違えないように」
そして沙織はさっさとお茶会の席に戻ってしまう。
意味不明な女神の言葉に、エスメラルダは何のことかと戸惑った。
しかし、すぐに神話時代の悲劇を思い出す。
初代の双子座の黄金聖闘士は、二人の妹を聖域で失っている。自分はその妹の代わりなのだ。
「あの……、よろしくお願いします」
このとき、双子座のマスク部分の中心が淡く光った。
波のある光の粒子に彼女はどうしたらいいのか迷ったが、何か喋っているかのような気がしたので思い切って手を添えてみた。

脳裏に響くは「待っていた」という言葉。

神話の時代、大国スパルタの二人の王女と双子座の聖衣は面識があったのだ。
そして聖衣は王女たちと約束をする。
「ずっと、お兄様と一緒にいてね」
それは聖衣にとって、とても大切なものとなった。なぜなら、その直後に二人はいなくなってしまうから。
もう一度二人に会って、約束を守っている自分を見てもらう。
その為ならば女神ニケに何度注意されようとも、女神アテナに迷惑をかけようとも、絶対に双子座の聖闘士になるべき人物の条件を変えるわけにはいかない。

「私も、サガお兄様とカノン兄さまに出会えて嬉しいです」

エスメラルダの言葉に、マスクが少しだけ前屈みになる。
まるで自分の泣き顔を見られなくない人がいるかのような仕草だった。
聖衣達が自我を持った状態というのは、己の聖衣もまた自我を持っているということである。
しかも性格まで示されるのだ。ジュネとしては知りたいような、知りたくないような複雑な気持ちになった。

思わず手のアームを見てみる。 カメレオン座はどのような性格なのだろうか?
すると沙織がジュネに言葉をかけた。
「カメレオン座に限らず、青銅と白銀の聖衣には好きと嫌いと無関心しかありません」
「えっ……」
「嘘をつくほど複雑な思考を持ってはいないのです」
もともと会話ができるわけではないということもある。
だが、逆に黄金聖衣は人間臭いところがあって、嘘をつくのだという。

しかし、魔鈴に構われて嬉しそうな獅子座の黄金聖衣を見ていると、沙織も何か断言できないものを感じていた。
会場を教皇の間に移し、石の床に綺麗な絨毯を敷いてお茶会続行。
その周りにはニケにたっぷり絞られて、しょげているであろう黄金聖衣達がいた。

「ニュクス様の力添えです」
沙織はその一言で、この奇妙な状態の説明を終わらせた。
さすがに実力者である夜の女神の名を出されると、嘘だと否定は出来ない。
むしろエスメラルダと絵梨衣が一緒なので、女神エリスの嫌がらせかもしれないと思えた。
ただし、誰もそれは口にしない。

ちなみに白鳥座の聖衣は絵梨衣から片時も離れず、とても寛いでいる。

「……」
シャイナはこの異様な状態に気分が悪くなりそうだった。
山羊座の聖衣が威嚇のオーラを出しながら沙織の傍にいる。その威圧感は半端ではない。
「山羊座の聖衣については、そういう方ですから気にしなくていいです」
沙織は楽しそうに説明するが、それでも何か粗相があれば山羊座の聖衣から言葉なき説教を喰らいそうな気がするのは気のせいではないと思っている。
しかし、同胞はというとこの空気に馴染んでいるように見えた。

「魔鈴、よく平気だね」
すると少し離れたところで、獅子座の黄金聖衣を子猫扱いして遊んでいる魔鈴はアッサリと答えた。
「夢と現実の区別は付いているよ」
しかし、どう見てもシャイナには、今のこの場所が無骨な妖精郷にしか見えなかった。
第八話です。
物語が動き出しました。
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