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「神殿へ行くのか? それなら勝手に通るがいい」
 そういってアフロディーテはその場を立ち去ろうとする。
 しかしカミュとしては、相手に逃げられるわけにはいかなかった。
「待て! さっきの光は何だ!!」
 明らかにアフロディーテは水瓶座の黄金聖衣から抜け出した光と対峙していた。  
 しかも、特に驚きも警戒もせずに。カミュはこのとき、水瓶座の神話を思い出した。

 水瓶座はもともと、トロイアの王子ガニュメーデースを模している。
 とても美しい少年で、その姿に夢中になった大神ゼウスが鷲に姿を変えて天上界へ連れていったとか、ゼウスの使いである大鷲が連れ去ったとか言われている。
 そして彼は天上界にて神々の飲み物であるネクタールを給仕する役目を持つようになった。

 カミュは沈黙しているアフロディーテにもう一度尋ねた。
「知っているのだろう。あれが何であるのか」
 するとアフロディーテは露骨に眉をひそめて、返事をしたくなさそうな顔をする。
「……何故、私が」
「関係……いや、知っていそうだと思ったからだ」
 迂闊にアフロディーテをトロイアの関係者と言うのは憚られた。何の証拠もないのだ。
 彼は少々苦し紛れの説明をする。
「あの光は人の形を取っていた。聖衣が何かに取り憑かれていたり良くないことの予兆を示しているのなら、問題を片づけないとならない」
 聖戦のとき水瓶座の聖衣を弟子の氷河も纏った。その関係で弟子が魔に魅入られるような事態は避けたい。
 そういうとアフロディーテは苦笑いをしてカミュについてこいと言った。

「せっかくだから酒でも飲もう」
 相手の真意は分からなかったが、カミュは言われるままアフロディーテの後を付いてゆく。
 静かな夜は続いていた。
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>2012-04-05 Nさん

貴鬼は尋ねてみました。
「ベルトに石を付けるというのはどうでしょうか?」
ムウは「ベルトから聖衣が出てきたら、何処かの探偵ボウズみたいですね」との返事。
シオンは「最近はそういうのは流行らない。懐かしいが……」と、遠い目をする。

こんな感じで、今の状態になった……とか。( ^ ^ ; )
>2012-04-03 Pさん
聖闘士☆星矢Ωではパンドラボックスが登場しないことにガッカリしたほうですが、きっとこんな裏話があったんだろうなぁと妄想しました。
羊一家が素敵と言ってもらえて嬉しいです。
ありがとうございました~☆

>2012-04-04 Gさん
羊一家については、「師弟関係+家族」という印象を持っていたりします。
シオンやムウの背中を見て貴鬼は成長していくのだと思ったら、こういう話になりました。
彼らには、どの聖衣に何の石を使う気なのか教えてほしいかも……。
コメについては、すごく嬉しいです。
また、是非サイトに遊びに来てください。
ありがとうございました☆
 白羊宮の一角にある鍛冶場のテーブルに、シオンは幾つかの宝石を並べる。
 その種類も色も様々で、光沢を放つものもあれば、くすんだガラス玉のようなものもあった。

「シオン様、何をしているのですか?」
 所用から戻ったムウと貴鬼は、テーブルに近づくと興味深げに石たちを見た。
「二人に尋ねたい」
 シオンは水晶のような石をつまむと、じっと見つめながら言葉を続ける。
「これらの石に聖衣を封じるのは出来ると思うか?」
 その問いに二人はとても驚く。
「そんな小さな石に聖衣を封じるというのは、どういうことですか!」
 ムウは思わず大声を出してしまう。
「聖衣そのものにも力があるのですよ。それを強制的に小さくすれば、反動で聖衣を壊してしまうかもしれません。なんの必要があるのですか!」
するとシオンはムウの方に視線を向けた。
「……これから先、必要になるかもしれないからだ」
「えっ?」
 シオンの手の中で水晶はキラキラ光っていた。

「我々は今までパンドラボックスで聖衣を保管していた。それはパンドラボックスが頑丈であるということと、聖衣は攻撃されても滅多なことでは壊れることはないと思っていたからだ」
「たしかに聖闘士たちも聖衣の耐久に関して過信しているところがありますね」
 ペガサスの聖衣など星矢一人の代で5回も治した。連戦だったと言われればそれまでだが、ペガサスの聖衣そのものが消滅しなかったのは奇跡かもしれない。
「今まで聖衣が無事だったのは、聖衣が敵にとって攻撃対象ではなく利用価値がある武具のようなものだったからとも言える」
「……」
「あとは聖域の者たちが守る対象にしていたからだろう」
「そうですね。聖衣は聖域の宝ですから」
 現・牡羊座の黄金聖闘士は、先代が何を言おうとしているのか察した。

「しかし、敵が聖域に潜み、聖衣を破壊するという行為を全うしようとしたとき、今の状態ではパンドラボックスを安全なところへ持ち運ぶなど一般人には至難の業だ」
 所有者である聖闘士がいれば良いが、中には所有者のいない聖衣もある。それを運ぶには聖闘士か体力のある人間か、貴鬼のような重さを自分で調整できる能力者が必要である。
 平時ならなんでもないことでも、闘いが起こり緊急事態ともなれば人を選ぶ暇などない。場合によっては女官の誰かが命懸けで追手から聖衣を何処かへ運び隠す事態もありうるのだ。

 ムウはテーブルの上にある赤い石を手にとった。
「器に関しては石の硬度を強制的に上げて、破壊される確率を減らしましょう」
 シオンは弟子の提案に頷く。
「聖衣の小宇宙に反応する特性を生かせば、主たる聖闘士以外では装着が不可能ということも出来るだろう」
 たとえ盗まれることがあろうとも、壊されなければ聖闘士と聖衣は互いに呼び合う。その絆を信じるしかない。

「たとえ何年かかろうとも、技術開発を成し遂げなくてはならない」
 シオンとムウは貴鬼の方を見た。
「オイラ?」
「我等で完成出来なかったときは、其方が引き継いでくれ」
 女神アテナの為に……。
 その言葉に貴鬼は「はい」と頷いたのだった。

☆☆☆

こんな裏話があったんじゃないかと思いました。
静かすぎる夜。
アフロディーテは嫌な予感がした。
『こういうとき』にこそ、招かれざる客がやってくる。

そして実際に『それ』はやってきた。

☆☆☆

――君には幸せになって欲しくないんだ。

揺らめく金色の人影。
それは音声というものは発しなくても、雰囲気的にそう言っている感じがした。
アフロディーテは苦々しい思いで光を見る。
「この世に止まり続けたところで、彼らに逢えると思っているのか」
すると光は大きく揺らめいた後、そのまま周囲へと拡散し消えた。

そのまま彼は視線を柱へと移す。
そこにはカミュが立っていた。

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