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萌え話65までをサイトにアップしました。
あと、目次をクリックすると別窓が開くようにしました。
(単に自分の利便性のためですが)
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「お願いです。妹を連れて行かないでください」
少しおびえたようなエスメラルダの言葉に、ジュネもニンフたちも動きが止まった。
他の闘士たちも興味深げに様子を見ている。

「……妹?」
「ようやっと仲良くなれたんです。お願いします」
祈るように両手を合わせて、彼女はニンフたちに話しかける。
ジュネはニンフたちが戸惑っているのが分かった。
彼女はエスメラルダに話を合わせる。
「貴女たちの誘いは有り難いが、私は姉様の傍を離れるわけにはいかない」
彼女たちはジュネから手を離す。
そして何度もエスメラルダとジュネを交互に見ていいた。

「あれは何ですか」
瞬がユリティースに尋ねる。
目の前で行われていることの意味がわからないのだ。


「ジュネ!」
エスメラルダが彼女の腕を両手で抱えるようにすがり付く。
その姿は大切な姉妹を奪われまいとしているかのようだった。
「お願いします。妹を……連れて行かないでください」
ジュネはそのままニンフたちを見た。

「今回、エスメラルダさんが堂々と妹宣言をしましたから、向こうはジュネさんとエスメラルダさんが同じ一族の出と思うでしょう。そして彼女たちはエスメラルダさんとニュクス様が言葉を交わしているところを見ています」
瞬はあっという表情をした。
「……それか!」
さすがにニンフたちも、夜の女神の関係者を泣かせたくはないだろう。
それにエスメラルダは誤解されやすい言い方をしてはいるが、嘘は言ってはいない。
二人の恋人が実の兄弟なのだから、遠くない未来、二人は義理の姉妹になるのだ。
「何よりもニンフたちよりエスメラルダさんの方が儚げです。そんなひとから守護役の妹を奪おうなど、誰も味方しません」
困ったように笑うユリティースの後ろで、紫龍たちが納得をしていた。


「聖闘士様……」
当のニンフたちも、これ以上いてはエスメラルダを泣かせかねないと判断したらしく、「では、いつか遊びに来てくださいね」と言って光の中に姿を消す。

この瞬間、朝日がより強い光りで世界を照らす。
そして柔らかな風が木や草を揺らしていた。
ニンフたちに囲まれて、ジュネはどう逃げようか真面目に考えた。
実力行使をすれば簡単だが、それだとニンフたちが怪我をしたり不機嫌になる可能性が高い。
そうすると後々までしこりを残すこととなる。
では、神妃からもらった指輪を見せるべきか。
これは正直言って劇薬に匹敵する。事態の展開によってはニンフたちが罰を受けかねない。
そして神妃を頼るのは危険だった。

では、説得するしかないのだが……。
良く言えば一途、悪く言えば人の話を中途半端にしか聞かないニンフたちである。
どう言ったらいいのか。ジュネは悩んでしまった。

「聖闘士様?」
ニンフたちがジュネの両腕に掴まる。
(しまった!)
このままでは逆に向こうの世界に連れて行かれるかもしれない。
しかし、振り払えばニンフたちに怪我をさせてしまう。
絶体絶命。

そこへ一人の少女が駆け寄ってきた。
結構長い話になりましたねぇ。
「オルフェさん、どうして瞬さんはニンフさんに近づいてはいけないのですか?」
状況の分からないエスメラルダは首を傾げながら尋ねる。
春麗も不思議そうな顔をしていた。

オルフェは苦笑いをしながら答える。
「ニンフとというのは結構デリケートな存在なんですよ。我々聖闘士が冷静でないときに近づいたら、向こうを吹き飛ばすか消滅させてしまうかもしれません」
では、何故夜間の騒ぎは大丈夫だったのかというと、推測として女神キュベレーか女神ニュクスが保護してくれていたのだろうというらしい。
「全部推測でしかないですが、たぶん当たりです。ですからもっと力を持つ黄金聖闘士たちも、今の状態では彼女たちには近づけません」
先程女神ニュクスから言葉を賜った直後にニンフに怪我をさせるなど、冗談でもやりたくない。
しかし、今の段階ではジュネが一緒に行くと言わないとニンフたちはここを去らないだろう。

「でも、そうするとニンフたちがカメレオン座を返してくれるのかかなり怪しくなる……」
それこそ聖域に戻るまで20年くらい遠回りをさせられたら、洒落にならない話である。


一方、瞬の方はというと、
「僕はもう落ち着いている!」
「嘘をつけ!!」
などと言い合いをしていたが、結局星矢は半分疑いながらも拘束を解いた。
「しかし、困ったな」
相手がニンフでは一輝や紫龍も良い知恵が浮かばない。
むしろ怪我をさせれば災いを呼ぶかもしれない相手なのだ。

そんななかユリティースが何かを思いついたらしく、不安げなエスメラルダに耳打ちをした。
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