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 レヴィアタンが天に向かって咆哮する。
 身体が透けたり現れたりを繰り返していくうちに、空に溶け込み始めた。
 その姿を見て、星矢や瞬と共にジュネを守っていたクリシュナは「ベヒモス変化……」と呟く。

「ベヒモス変化?」
 何のことかと星矢が振り向いたとき、ジュネが声を出して暴れる。
「ジュネさん!」
 瞬は鎖に手を添えながら、彼女に駆け寄った。
「落ち着いて、大丈夫だから!」
 しかし、ジュネは首を横に振る。
「私が……生きているなんて……」
「何を言っているんだ!」
 姉弟子の言葉に瞬はギョッとする。
 するとクリシュナが言葉をかける。
「ベヒモスは完璧なる獣、神の傑作といわれる存在だ」
「それがどうしたのですか」
「彼女は今、己の中に潜む辛い記憶を呼び覚まされている。その罪を償うために、ベヒモスに身を捧げようとする思考に陥っているのだ」

 完璧なる生き物の血肉になる。
 それが赦しを得る方法だと、思い込んでいるという。
「問題は、きっと他の場所でも同じようなことが起きているということだ」

 クリシュナの推測通り、ベヒモス変化を見ていた雑兵たちや一部の聖闘士達がフラフラとした足どりで海へ向かおうとする。
 それを、まだ正気を保てている他の者たちが止めているという状態だった。

「俺たちをエサにして、力を回復しようとしているって事か」
 星矢はベヒモス化しているレヴィアタンを見た。
 もう空の光に溶け込んでおり、形らしきものは見えない。
 

 
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