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「ところで貴方はどこから来たの?」
非常に真っ当な質問をされて、アイオロスは何と答えようかと思った。
そもそもここがどこなのか分からず、海で遭難して浜辺に打ち上げられたというには身体は濡れていないし、適当な場所からやって来たというにはこの浜辺に別の場所から続く自分の足跡はない。

「すみません。よく分からないのです」

すぐにバレる嘘をつくくらいならと、正直に答える。
すると相手はちょっと困ったように微笑んだ。
「それなら人里まで案内をしてあげるわ」
「良いのですか!」
「海将軍たちに見つかると面倒なことになるからね」
彼女の言葉にアイオロスはドキリとする。
(……海側の……関係者?)
さらに彼女は言葉を続ける。
「ペガサスは────にちょっと遅れると伝言をよろしくね」
このときペガサスのアイオロスを見る目つきがかなり厳しくなった。
明らかに怒っているのが分かる。

ところが次の瞬間、海辺に得体のしれない緊張が走る。
今まで見たこともないような化け物が海から突如現れたのである。
彼は少女を守ろうとしたが、彼女の攻撃の方が早かった。
大量の海水が天へと昇り、化け物は身体をバラバラにされた。
「あぁ~あ、この騒ぎで海将軍たちに連れ戻されるわね」
落ちてくる水が大量すぎて、土砂降りの雨よりも酷いことになる
視界が悪くなり、少女とペガサスの姿が見えない。

「大丈夫ですか!」

大声を出した瞬間、彼は目を覚ました。
そして、どうして此処にいるのか分からない、しかも自分に肩を貸しているサガとカノンに「いきなり大声を出すな!」と思いっきり殴られたのだった。
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突然の殺気に彼は素早くその場を離れて、体勢を建て直す。

「ペガサス! 人を踏もうとしちゃダメ!」
少女は真っ白い翼を持った美しい天馬を宥めていた。
アイオロスはここがどこなのか分からず、辺りを見回す。

(海辺……?)
しかし、デスクィーン島ではないような気がした。
あの島は少しずつ緑が戻ろうとしているが、かなり荒々しい大地が残っている。
ここは美しい浜辺だった。
遠くには神殿らしき建物が見える。

「ごめんなさいね。ペガサスったら、いつもは大人しい子なのよ」
踏まれそうになった側からすると、あまりその意見には賛成しかねた。
むしろペガサスの様子が手にとるように理解できる。
彼(?)は警戒しているのだ。
(不審者扱いらしいな)
「私の名は──。貴方の名は?」
何か言葉の上から異音が入ったかのように、少女の名はかき消されてしまう。
(???)
少女は何の疑問も持たずにアイオロスの返事を待っている。
とにかくアイオロスは正直に名乗った。

「アイオロス? “風の君”と同じ名ね」
少女は楽しそうに笑う。
その笑顔を見たとき、彼は少女が誰かに似ているような気がした。
(なんとなくセイヤの幼馴染み?に似ているような……気が……)

でも、実物はほんのちょっとしか見たことがないので、アイオロスは気のせいだと思うことにした。
NDのネタバレというか、何というか……。
「我、数多の人々の血と汗と涙の上に立つものなり」
そう言った瞬間、アイオロスは女神と共に聖域を脱出したときのことを思い出した。

生まれながらにして射手座の黄金聖闘士となるよう定められていた自分。
それについては誇りに想いこそすれ、苦しいとか、辛いなどと思ったことはなかった。
だからこそ、サガが正気を失ったとき、命懸けで女神を聖域から脱出させた。

とにかく、赤ん坊である女神の安全が第一だった。

どこをどう逃げたのか、未だによく分からない。
そして力尽きようとしたとき、一人の男性が目の前に現れた。
今まで会った事のない人物。
でも、彼に預ければ大丈夫だと思った。

そしてこの出会いが、後に星矢たちを聖域へと導くことになる。

「まさかあの男性が、女神のために我が子を戦場に送り込むとは……」
日本にいるであろう彼らの家族は、きっと自分を恨んでいるだろう。
だが、女神を守ることが重要だったことに対して判断は間違えてはいない。
そしてあの男性も、自分に出来る精一杯のことをやってくれただけだ。

では、送り込まれた子らの家族は誰を怨み怒ればいい?

「黄金聖闘士いう地位は、大勢の人々の慟哭の上にある」
そう考えたら、何か答えが得られたような気がした。
もし、自分の目の前に彼らの家族が現れたら、その人の思いを受け止めようと……。
命は既に女神に捧げているから、それをあげることは出来ないけど。

不意に波の音が聞こえてきた。

「大丈夫ですか?」
突然聞こえてきた少女の声に、アイオロスは目を開けた。
狭い部屋ではあったが、アイオロスは器用に黒い物体の体当たりを避ける。
「お前は何者だ!」
彼は尋ねるが、相手は『千ノ勇者ヲ倒シテ神トナル者ナリ』と答えるのみ。
しかし、しばらくしてアイオロスがそう簡単に倒せる相手ではないと悟ったらしく、いきなり姿を変化させた。
それは人の顔を持ったティラノザウルスに似ていないこともない。
黒い物体は巨大な尻尾を振り回す。

『我、破壊ノ神ニ選バレシ者』

その言葉にアイオロスの目が光る。
「ならばこちらも名乗ろう」
聖衣を纏っていないはずの男の身体から金色の光が立ちのぼる。
『何!』
「我、数多の人々の血と汗と涙の上に立つものなり!」
彼の拳が闇を切り裂く。

そして周囲の壁が崩壊し始めた。
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