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絵梨衣はこの説明を大まかに理解する。
彼女たちは命懸けでこの世界を守っているのだ。
そこまでの意思力を持つ人たちならば、自分の願いを聞いてくれるかもしれない。

「あの……、皆さんにお願いがあります」
何度も考えたこと。それを口にするのはやはり心が落ち着かない。
それでも誰かには言わなくてはならない言葉だった。
「もし私が災いの原因になったら……」
緊張の極致で紡ぐ言葉は、終わらないうちに返事を言われてしまう。
「助けに行くよ」
シャイナの言葉に絵梨衣はキョトンとする。
「えっ?」
「だから助けに行く。絵梨衣ちゃんも絶対に早まった真似はしないこと。約束だよ」
意外な展開に絵梨衣は思考がまとまらない。三人の女性聖闘士達の顔を順に見た。
すると魔鈴が言葉を続けた。
「さっきも言ったように、聖域は裏切りなどを利用している部分がある。だから誰かが絵梨衣ちゃんに酷いことを言うかもしれないし、利用しようとするかもしれない。でも、貴女を救うために命を懸ける聖闘士もいる」
「……」
「まぁ、どちらかというと面倒な状態の余波でそちらに迷惑をかけるほうが多いだろうけど、とにかく女神やキグナスを最後まで信じて欲しい。聖域は絶対に貴女を守る」

それは力強い言葉だった。
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「あの……、また闘いが起こるのでしょうか?」
眠っていたはずの絵梨衣がに急に起きて、不安げに彼女たちに問う。
どうも自分が聖域に呼ばれたということで、何かしら良くないことが起こっているのではと気を揉んでいるらしい。
その真剣な様子に、三人は互いに顔を見合わせた。

「絵梨衣ちゃんには聖域というところの性質を説明した方がいいね」
魔鈴の言葉に絵梨衣は首を傾げた。
「性質……ですか?」
「ここだけの話だけどね」
明らかに緊張している絵梨衣をリラックスさせるべく、三人は彼女と一緒に絨毯に座る。
ジュネがポットに飲み物が残っていることに気がついて、絵梨衣にお茶の入ったカップを渡した。
「まずは前提として、この聖域は常に裏切り者とか敵を内包している状態にあるんだよ」
意外な言葉に絵梨衣は目を丸くした。

「どう……してですか?」
裏切り者とか敵などいない方が良いのではないのだろうか。絵梨衣にはわけがわからなかった。
「これは一種の防衛機能と思ってくれればいい。聖域が強固なまでに一致団結してしまうと、敵対勢力は色々な力を身に蓄えて聖域を叩き潰そうとするから、そうなると殲滅戦になってしまう。これでは地上は焦土と化してしまうのさ」
それだけの覚悟がなくては聖域を滅ぼすことは出来ないという逆の意味にも取れる発言だった。
「もちろん裏切り者も敵も、そういう役目で動くという意味だ。本人がどんな考えで動いているとしても」
本気で聖域を滅ぼすつもりなのか、それともその振りをしているのかは誰にも確認は出来ない。
当事者も他の者に言う気はない。
それだけの真剣さがないと、邪悪なものたちに悟られてしまうからである。
「それに、そういう存在がいると敵側はそいつらに接触を試みる。そこから勝負が始まるのさ」
地上を守りつつ聖域を存続させる為の方法。
それは聖闘士たちに過酷な運命を与えるものでもあった。
【小説家になろう】の二次創作版が近々サービス終了とのこと。

あそこから、うちのサイトに来てくださるようになった方もいるので、
非常に残念です。
でも、管理人さんが判断したのなら従うのみです。

今までありがとうございました。
今、教皇の間にある聖衣達は全て神話の時代に作られたものである。
しかも有名なものばかり。
ジュネはその迫力に、やや気押され気味だった。

(やはり神話を持つ聖衣は、迫力がある……)
幼いころダイダロスからカメレオン座の聖衣を見せてもらったとき、ジュネは神話を持っているのか尋ねたことがある。
しかし、カメレオン座はまだ聖衣が誕生して日が浅いと説明された。

「あと2000年したら、天上の南極はカメレオン座に近づく。そのときに聖衣がカメレオンの姿でいてくれるかは分からない」
何しろカメレオンの語源はギリシャ語のchamai+ leon(地上の+獅子)
(注意・異説も、もちろんあります)
何故、その名を持つものが南の天上にあるのか。疑うとキリのない話である。
しかも2000年という月日は、途方もないほど先の未来だった。
もしかすると人間側がいきなり伝説の獅子を創造して南の夜空に冠するかもしれない。
そう言ってダイダロスは笑っていたが、ジュネには壮大な内容過ぎて、最初はスゴイと思って良いのか何か夢物語を聞かされているような気がした。

しかし、女神と会ったときに彼女は理解する。
女神アテナだけは聖域の聖衣達と共に、2000年後も世界を守ってくれている。新しい聖闘士達と共に。
このとき、カメレオン座の聖衣は何かの影響を受けるかもしれないし、何事もなく女神と共にあるかもしれない。
ただ、自分が何か不名誉なことを行えば、聖衣の名誉もまた地に落ち泥にまみれるのだ。

ジュネは教皇の間の入り口から外を見た。
この地からカメレオン座は見えない。
それでも聖衣として存在するということは、女神アテナと共に闘えるということ。
彼女は自分の胸に手を当てる。聖衣の声が聞けたらと思った。
夜も更けていくと、さすがに一般人であるエスメラルダや絵梨衣は睡魔が襲ってくる。
何も我慢大会をしているわけではないので、シャイナが二人を隣の部屋に連れていった。
もちろん、護衛(?)として白鳥座の聖衣も一緒である。

そしてそれが呼び水になったのか、沙織とユリティースも隣の部屋で眠りについた。
教皇の間には女性聖闘士3名、ニケの杖、黄金聖衣たちが残されたのである。

「最初はこんなものだろう……」
そこへシャイナが戻ってきた。沙織たちがちゃんと眠るまで傍にいたらしい。
「訓練としては穏やかな方じゃないか?」
魔鈴の言葉にジュネは緊張した面持ちで頷いたのだった。

実は今回のイベントは、エスメラルダと絵梨衣に「女性聖闘士に慣れてもらう」為に企画されたものなのだ。

聖域になにか重大事件が発生した時、重要人物を保護しつつ問題に対応しないとならない。
それが女神ならあらゆることを排除して守りもするが、それ以外の存在は無視します……では聖闘士という存在の信用に関わる問題だった。
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