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ジュネさんと瞬の師匠が一摩さんと知り合いという妄想です。



長かったので折り畳みます。



☆☆☆☆☆☆

 薔薇の切り花に鋏を入れる。

 青い薔薇、花言葉は『神の祝福』

 しかしメディアの脳裏には、とある島で見た真紅の薔薇の方が美しく、神の祝福を思わせた。



(もう一度、あの薔薇を見たい……)



 エリュシオンに咲く花よりも素晴らしい薔薇。

 人の命を糧に咲く奇跡。





 メディアがその薔薇を見る切っ掛けとなったのは、とある島で発生した負の意識だった。

 暗闇で感じた強烈な怒りと憎しみ。

 彼女は地上へ現れる。

 そこはとある島。草木の少ない荒れた大地だった。



 目の前に倒れているのは鎧を纏った青年。

 噂に聞く聖闘士だと気付いた。

 青年の胸には真っ赤な薔薇が刺さっている。



 人の血を吸ったのか、その色の鮮やかさにメディアは目を奪われた。

 思わず手を伸ばしたとき、その腕を倒れている青年に掴まれる。

「お前は……女?」

 目を開けていても青年にはメディアの姿が見えなくなっているらしい。

 彼女は黙った。

「早く……逃げろ、黄金聖闘士が……」

 青年は息も絶え絶えだが、掴まれた手から青年の記憶がメディアに雪崩込んだ。



 聖域で発生した内乱。

 この島で聖闘士を育てていた者が反逆の濡れ衣を着せられたらしい。

 青年は師匠と共に身の潔白を叫んだが、黄金聖闘士は無慈悲にも彼らに攻撃を仕掛けた。

 この理不尽な仕打ちに彼の中で怒りと憎しみが膨れ上がる。



『復讐を……』



 青年は胸の薔薇を引き抜くとメディアの前に差し出す。

 その行動にどんな意味があるのか彼女には分からない。

 だが、真紅の薔薇の美しさに抗う事は出来なかった。



 メディアは薔薇を手にとる。

 そのとき魚座の黄金聖闘士の姿が見えた。



「この薔薇のお礼に、私が聖域を滅ぼしましょう」

 彼女は嬉しそうに微笑む。

 イアソンはロクでなしだったが、この青年は誠実そうだ。

 無慈悲に人を殺める聖闘士など、どうせ神々に逆らう愚か者だろう。



 彼女は自分の存在理由を得て、楽しかった。



☆☆☆



 その頃、同じ島の別の場所では、南十字星座の聖闘士が一人の少女を見つけた。

「ジュネ、大丈夫か!」

「カ……カズマさん」

 今やアンドロメダ島は男の聖闘士達の死体が幾つもあった。

「先生が……」

「とにかく、この島を離れるんだ! 黄金聖闘士が戻ってこないうちに」

 聖域はアンドロメダ島の粛清を考えている。

 カズマは友人にそれを伝えるべく島に急いでやって来たが、時すでに遅し。

 そこには冷たくなった友人が大地に横たわっていた。



 生き残ったのはカメレオン座の青銅聖闘士ジュネのみのようだ。

 運がよかったのか、女聖闘士ということで利用価値があると判断されたのかはわからない。

 とにかくカズマはジュネを島の外に出すことにした。

 聖域は狂いつつある。

 こんな状態の聖域のもとで、女神は無事だろうか。

 カズマは暗い気持ちになりながらも、それでも正義の存在を信じた。
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