忍者ブログ
更新・日記ブログ
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
[77]  [78]  [79]  [80]  [81]  [82]  [83]  [84]  [85]  [86]  [87
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「仕方ないだろ。アンドロメダのネビュラチェーンはどんな空間でも越える可能性があるのでは、うっかりすると勝負の邪魔をしかねないからな」
黒幕の言い分に、状況の分からない瞬はジュネの方を見る。
恋人の様子にジュネは自分たちが何故、このような格好をしているのか説明し始めた。

最初は女官服についての説明だったが、黄金聖闘士との勝負になると瞬の顔が険しくなる。
アフロディーテとの勝負に至っては、真っ青になっていた。
「ジュネさんに何てことをやらせるんですか!」
一歩間違えれば、彼女はブラッディローズの餌食になっていたのかもしれないのだ。
何よりも瞬にとってアフロディーテは、いろいろな意味で警戒すべき人物である。
しかし、アイオロスはおかしそうに笑うだけ。ますます瞬の目はつり上がった。
「まあまあ、落ち着け」
「落ち着けません!」
「これは、一種の試練なんだ」
「何がですか!」
「これから先、カメレオン座が薔薇に対して恐怖心を持たせないためには必要なんだ」
この説明に瞬は驚く。
「似たようなシチュエーション、似たような花に関わる度にカメレオン座が苦しむのであれば、それは弱点になり彼女にとって命取りになる。荒療治だが彼女の聖闘士としての誇りに賭けさせてもらった」
そこまで言われると、瞬としては文句は言えない。
彼女は逃げずに、自らの恐怖心と戦って勝ったのだから……。

「わかりました。でも、こんな不意打ちはこれっきりにしてください」
そう言って瞬は、アンドロメダ座のパンドラボックスを背負い、ジュネの手を引いて教皇の間を出てゆく。
彼女は三人の方を振り返ったが、黒幕が行っていいというジェスチャーをしたので、そのまま瞬と一緒に教皇の間から出ていった。
思わず可愛らしい恋人たちを見送ったあと、アイオロスがポツリとつぶやく。
「あの調子じゃ、隠し部屋を壊したみたいだな」
「隠し部屋?」
シャイナが何のことかと尋ねる。
「教皇の間までやってきた不届き者を閉じ込める為にあると言われている部屋だよ。小宇宙の遮断は言うに及ばず、けっこう頑丈な部屋だからアンドロメダを放り込んでおいたのだが、あとで教皇やサガに怒られるなぁ」
よりにもそんな部屋にアンドロメダ座を軟禁すれば、反撃されるのは目に見えている。
星矢たち神聖衣を得た青銅聖闘士たちは、その潜在能力は瞬間的ならば黄金聖闘士たちを超えるのだ。
隠し部屋の破壊は成るべくしてなったと言えよう。

しかし、アイオロスは特に困ったような素振りを見せてはいない。
あくまで楽しそうだった。
「ところで、さっきの話は本当ですか?」
「何が?」
「ジュネのことです」
双魚宮へ続く階段を下りながら、シャイナがアイオロスに訪ねる。
アイオロスは遠くにある黄金宮を見ながら答えた。
「本当と言えば本当。それに、あの場で他の理由だとアンドロメダ座はこっちを殺そうとしかねないからなぁ」
「つまり他にも理由が?」
「女官たちから服についての依頼を受けたのも本当。君らの実力を見たかったのも本当。黄金聖闘士たちの様子を見たかったのも本当。13年も不在だと、いろいろと知りたがるものなんだよ」

それが理由かと、シャイナと魔鈴は気がつく。
再びこの黄金聖闘士に振り回されそうだ。
そう彼女たちは思ったのだった。
PR
「ゴールが神殿なのに、教皇の間にいると黒幕になり損ねるからだよ」

神殿で彼女たちを待っていたアイオロスの言葉に、魔鈴たちはどっと疲れを感じた。
射手座の黄金聖闘士は、どうにもこうにも思考が読めない。今回の一件も本当に服の性能を確認するためなのか、イマイチ信用できないところがある。
しかし、当の本人は楽しそうに何かを紙に書き留めていた。

「三人ともほんの少し間に合わなかったから、約束通り三日間は女神の持ってくる服を着ることになる。
ただ、それは今ではない」
ペナルティなので不意打ちで洋服が用意されるというのだ。
彼女たちは「任務に差し障りがないときに、お願いします」と言うしかなかった。

「とにかくご苦労だった。夕飯はエスメラルダさんたちが野外料理を作ってくれているから、それをご馳走になるといいよ」
黒幕は楽しそうだが、彼女たちは「さっさと服を脱いで眠りたい」と言いたげである。
そんなときに、どこからか地響きのようなものを感じた。
「何だ?」
アイオロスは階段を駆け下りる。女性聖闘士たちもまた駆け出したのだった。

☆☆☆

教皇の間では、瞬が少々ボロボロになりながら周囲を見回していた。
自分を閉じこめていた石の部屋は、どうやら教皇の間に繋がっていたようである。
(これはいったい……)
何がなんだかよく分からず戸惑っていると、神殿の方から
アイオロスたちが駆け込んできた。

「あっ……」
瞬は元凶の存在に警戒したが、そのあとから現れたジュネをみて言葉を失う。
(……花嫁だ)
しかし、ジュネの方は彼の様子に、ただただ驚いていた。
「瞬! どうしたの。大丈夫?」
駆け寄ってきた彼女から、甘い花の香りがする。
瞬としては近づかれるとドキドキしてきた。
「……その……、そこの黄金聖闘士に閉じこめられていたんだ」
彼はアイオロスを睨みつける。
ジュネたちは驚いて、自称黒幕を見たのだった。

(続く)
「お前たち、何を血なまぐさい話をしている」
 部屋の入り口から聞こえてきた声に、彼らは顔を向ける。
 そこには教皇シオンが立っていた。
「何じゃ、おぬしは教皇の間にいるのではなかったのか?」
 童虎の言葉に教皇服姿の彼は平然と答える。
「今回の黒幕はアイオロスだ。私があの場にいる必要はない」
 黒幕という言葉にサガが眉をひそめた。

「──なるほど。外の奴らが小賢しい真似を……」
 オルフェから話の内容を聞いたシオンは腕を組む。いくら相手は聖域の協力者だとはいえ、看過することは出来ない内容である。
「なるべく早く善処すべきかと」
 サガの言葉にシオンは頷く。
「やはりこれは、私が携帯電話というものを持たねばならぬか」
 その呟きに、他の者たちが「えっ?」という顔をした。

「携帯電話……ですか?」
 オルフェも意外な言葉の登場に目を丸くする。
 するとシオンは平然と答えた。
「そうだ。女神からもミホとエリイの身辺には気を配ってくれと言われている。だから、たまに文通はしているのだが、何しろ時間が掛かるのだ」
 彼女たちが日本にいるときはグラード財団の方で何とかするとは思うので、この場合は聖域側の方で何か察知したら沙織に連絡をしてくれと言うことではないかと聞いている方は理解したのだが……。
 シオンが直接、文通という手段を使ったのは荒技としか言いようがない。
「……シオン様。携帯電話は小宇宙による通信と違って、偽装が簡単です。あれは契約書類上の所有者については証明可能ですが、実際に使用している人間の証明は、相手に対する信用が基本形です」
 オルフェの意見にシオンは頷くが、童虎たちは何か別世界の話を聞いているような気がしていた。
「それに手紙の持つ良さは捨てがたい……」
 この呟きに、「どんな返事を書いているのか」彼らは非常に不安になった。

 そして次の瞬間、部屋に一人の少年が飛び込んでくる。

「美穂ちゃんからの手紙って何だ!」
 人馬宮から白羊宮へ猛スピードで駆け下りてきた星矢が、シオンの話を耳にしたらしい。
 大事な幼なじみの名前が聞こえてきたのだから、気にするなと言う方が無理。
 これにより、白羊宮は一気に騒々しくなった。

「文通か……」
 そんな部屋の騒ぎをよそに、サガは妹分とどう交流回数を増やすべきか真剣に思案し始める。
 これにはカノンも呆れかえっていた。


お絵描きBBSの版権お題が「星矢」だったので、参加してきました☆
「不穏な会議の会場にして欲しくはないのですけどね」
 ムウは白羊宮へ集まったメンバーを見て、溜め息をついた。
「……すまない」
 サガは申し訳なさそうに謝罪する。
 彼とカノン、そして童虎とオルフェが自分のところの黄金宮へ集まったとき、ムウは貴鬼をユリティースのもとへと行かせた。
 これはオルフェの不安を思いやったのではない。彼らの話の内容が、貴鬼に聞かせるべきものではないと判断したからである。

「申し訳ありません。これはあまり雑兵たちなどに聞かれては困るものなので、場所の提供を感謝します」
 本当は童虎がここにしようと言い出したのだが、オルフェは立場が微妙に弱い(ということになっている)ので、彼がムウに謝意を表した。
「では、本題を始めます」
 オルフェが彼らに告げたのは、先の戦いで聖域にやってきた春麗やエスメラルダついての外部の反応だった。

「やはり、ある意味特別な存在というのは、警戒されるか、利用してやろうという反応に分かれるみたいです」
 女神アテナを守るために……という大義名分がそこにある為、考え方を変える気がないと言うのが彼の報告だった。
「情報収集をやり始めたらしく、あと数年もすれば見合い写真が送り付けられてきますよ」
 本来ならばそのようなことは許されるわけがない。何しろ彼女たちは黄金聖闘士が保護をしているのだ。彼らの許可なくば勝手な振る舞いなど出来ない。
 しかし、遠謀な計画が練られていれば、いつの間にか彼女たちを向こうに取られている可能性もある。
 禍の芽は早めに摘まなくてはならなかった。

「向こうが過ぎた真似をしないように、シメる必要がありますね」
 ムウの言葉に他の黄金聖闘士と海将軍が頷いたので、オルフェは苦笑いをするしかなかった。
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]