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「あっ!」
 双魚宮へ向かう階段の上で、ジュネは急に立ち止まった。
 身につけていたネックレスが留め金のところで切れたのである。
(まさか瞬の身に何か……)
 嫌な予感がする。
 しかし、彼がどこにいるのかわからないし、今は目の前の黄金宮に向かわなくてはならない。
 彼女はネックレスを素早く拾うと、胸に付けている花に巻き付けた。
(瞬……。無事でいて!)
 不安を抱えながら、ジュネは最後の黄金宮へと向かった。

☆☆☆

「氷河さん、氷河さん!」
 恋人の声で彼は目を開ける。
「絵梨衣?」
「映画、終わったわよ」
 周囲を見回すと、観客たちが出口へ向かって歩いている。
 映画自体は沙織が持っていた株主優待券で入ったので、特に惜しいとは思わない。
 絵梨衣のほうはというと、人気映画が見れるのは嬉しいし、氷河から映画に行こうと誘われたのはもっと嬉しい。
 しかし、実際に見る段階で隣で寄りかかるように眠られては映画鑑賞に身がはいらない。
 あとで美穂に感想を言うことになっていたのだが、たぶんトンチンカンなものになってしまうのは確実だった。

「いい夢を見たよ」
 氷河は大きく伸びをする。
「どんな夢?」
「高嶺の花だった絵梨衣を嫁にもらえる夢」
 その言葉に彼女は顔を赤くした。
「あっ……、高嶺の花って……そんなことないわ」
 シドロモドロになっていると、氷河が席を立った。
「さて、帰るか」
 そういって彼は恋人に手を差し伸べる。
 絵梨衣を嬉しそうに、その手を取ったのだった。

(しかし、妙にリアルな夢だったな……)
 氷河は思い返す。
 夢の中の絵梨衣は、聖域にて軟禁状態である女神エリスの巫女だった。
 彼女を手に入れるには、自分がめざましい働きをしてその願いを言える立場にならなくていけない。
 そのため、聖闘士だった彼は短期間に魔獣を十数頭倒すという荒技をしてのけた。
 この働きが認められ、彼は絵梨衣を得ることができた。これは彼女が聖域側の巫女でなかったことも幸いした。
 女神アテナに仕える巫女の場合は、このようなことは許されなかったからである。
 当時、敵対する女神の巫女ゆえに氷河に与えるという格好がついたのだ。

(でも、あれは何だったんだ?)
 絵梨衣を得たときに、誰かが自分のことを険しい眼差しで見ていた。
 それが絵梨衣に思いを寄せる男の登場を意味する予知夢だとしたらイヤ過ぎる。
 氷河は正夢にならないことを願った。
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