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絵梨衣の協力を得ながら、何とか大まかな設定は出来たと沙織は思っていた。
しかし、夢の中で見る機織り機には糸をかけることすら出来ない。
美しい糸も暗い糸も、すぐに切れてしまうのだ。
このままでは明らかに、映画を作ったところで布にはならないだろう。
それはハッキリと理解できた。
☆☆☆
翌日、そのことを絵梨衣に言うと、彼女はしばらく考えたあと言った。
「沙織さん、やっぱりシオン様や黄金聖闘士の皆さんにも協力してもらいましょう」
「何故ですか?」
「……今の状態だと、八方塞がりだからです」
意外な言葉に沙織は首を傾げる。
キャラクターを増やせばそれだけ収拾がつかなくなるのだから、必要最小限と思われる人数で行うことになっている。
そのために関わらせる聖闘士もジュネくらいにしているのだ。
絵梨衣の意見は沙織にとって意味不明に近かった。
「……そんなことはないはずです」
すると絵梨衣はなおも食い下がった。
「それならアストラムたちの装飾に関して、シオン様に相談させてください。他の業者に制作を依頼する前に、専門家の意見を聞いた方が失敗はないと思います」
失敗はない。
その意見に沙織は考え込んだ。
しかし、夢の中で見る機織り機には糸をかけることすら出来ない。
美しい糸も暗い糸も、すぐに切れてしまうのだ。
このままでは明らかに、映画を作ったところで布にはならないだろう。
それはハッキリと理解できた。
☆☆☆
翌日、そのことを絵梨衣に言うと、彼女はしばらく考えたあと言った。
「沙織さん、やっぱりシオン様や黄金聖闘士の皆さんにも協力してもらいましょう」
「何故ですか?」
「……今の状態だと、八方塞がりだからです」
意外な言葉に沙織は首を傾げる。
キャラクターを増やせばそれだけ収拾がつかなくなるのだから、必要最小限と思われる人数で行うことになっている。
そのために関わらせる聖闘士もジュネくらいにしているのだ。
絵梨衣の意見は沙織にとって意味不明に近かった。
「……そんなことはないはずです」
すると絵梨衣はなおも食い下がった。
「それならアストラムたちの装飾に関して、シオン様に相談させてください。他の業者に制作を依頼する前に、専門家の意見を聞いた方が失敗はないと思います」
失敗はない。
その意見に沙織は考え込んだ。
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「沙織さん、他に何かイメージしているものは有りますか?」
絵梨衣としては、逃れられないのなら徹底的に関わるしかないと腹を括った。
中途半端なことをしては、作中でどんな目に遭わされるか分かったものではない。
絶対にやりたくない事は、あらかじめ言っておいた方が得策である。
「そうですね……、これを見せるのは夜の女神とその子供たちですから、闇とか黒をイメージする存在を敵にする事は出来ません」
「……」
「ここはデウス・エクス・マーキナー(機械仕掛けの神)にラスボスになってもらいましょう」
紙に沙織の言葉を書き込みながら、絵梨衣はどう反応して良いのか迷った。
本当に機械の神を登場させるのか、それともご都合主義を崩壊させるという意味なのか。
「ものすごくロボット的な存在が良いですね。でも、サイボーグ系の方がドラマチックでしょうか?」
「それは、シナリオ次第な気もしますが」
「とにかく向こうには奇天烈な内容をものともしない『夢の神』がいるのです。真面目にまともな話を作ったところで退屈されるだけです」
ますます気が重くなる絵梨衣だった。
絵梨衣としては、逃れられないのなら徹底的に関わるしかないと腹を括った。
中途半端なことをしては、作中でどんな目に遭わされるか分かったものではない。
絶対にやりたくない事は、あらかじめ言っておいた方が得策である。
「そうですね……、これを見せるのは夜の女神とその子供たちですから、闇とか黒をイメージする存在を敵にする事は出来ません」
「……」
「ここはデウス・エクス・マーキナー(機械仕掛けの神)にラスボスになってもらいましょう」
紙に沙織の言葉を書き込みながら、絵梨衣はどう反応して良いのか迷った。
本当に機械の神を登場させるのか、それともご都合主義を崩壊させるという意味なのか。
「ものすごくロボット的な存在が良いですね。でも、サイボーグ系の方がドラマチックでしょうか?」
「それは、シナリオ次第な気もしますが」
「とにかく向こうには奇天烈な内容をものともしない『夢の神』がいるのです。真面目にまともな話を作ったところで退屈されるだけです」
ますます気が重くなる絵梨衣だった。
「とにかく大まかに決めておきましょう」
沙織の言葉に絵梨衣は頷く。
このままでは自主制作映画では済まなくなってしまう恐れが出てきたからだ。
「では、沙織さん。題名は?」
「セイント・アストラム。でもホーリー・アストラムにしようか迷っています」
二人の間に一瞬、沈黙が流れた。
しかし沙織は言葉を続ける。
「少女たちが身にまとうのは『聖飾』と書いてセイクリッド。モデルは聖衣達にします」
このとき絵梨衣はいやな予感がした。
「聖衣達も登場させるのですか?」
「絵梨衣さんには白鳥をモチーフにした、純白の衣装を身に付けてもらいます。向こうもそれを見たがっているみたいですから」
沙織の真剣な眼差しに、絵梨衣は逃げられないことを改めて悟った。
沙織の言葉に絵梨衣は頷く。
このままでは自主制作映画では済まなくなってしまう恐れが出てきたからだ。
「では、沙織さん。題名は?」
「セイント・アストラム。でもホーリー・アストラムにしようか迷っています」
二人の間に一瞬、沈黙が流れた。
しかし沙織は言葉を続ける。
「少女たちが身にまとうのは『聖飾』と書いてセイクリッド。モデルは聖衣達にします」
このとき絵梨衣はいやな予感がした。
「聖衣達も登場させるのですか?」
「絵梨衣さんには白鳥をモチーフにした、純白の衣装を身に付けてもらいます。向こうもそれを見たがっているみたいですから」
沙織の真剣な眼差しに、絵梨衣は逃げられないことを改めて悟った。
『女神アテナ、貴女が手にしたのは美しい気持ちを表す糸。でも、それはとても脆く、機織りどころか手編みでも壊れてしまいます』
女神ピロテースは沙織の前で灰色と黒が斑のようになっている糸を差し出す。
『この糸は人間の負の意識を表す糸。これと一緒でないと美しい糸はいつまでたっても布にはなりません』
女神ニュクスの娘神は意味深に笑う。
『どうぞ手にとってください』
どこか沙織の様子を伺うような態度だった。
「分かりました。これで糸が織れます」
機織りの女神は躊躇うことなく暗い色の糸を受け取った。
女神ピロテースは沙織の前で灰色と黒が斑のようになっている糸を差し出す。
『この糸は人間の負の意識を表す糸。これと一緒でないと美しい糸はいつまでたっても布にはなりません』
女神ニュクスの娘神は意味深に笑う。
『どうぞ手にとってください』
どこか沙織の様子を伺うような態度だった。
「分かりました。これで糸が織れます」
機織りの女神は躊躇うことなく暗い色の糸を受け取った。