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「何をやっているんだ、お前は!」
デスクィーン島での戦闘をサガに白状させられ、アイオロスは苦笑いをした。
真面目なサガからすれば、何の調査もせず、何の報告もせずに島へ来て、大暴れをして正体不明の魔物を倒したのか逃がしたのか分からない状態というのは神経がキレそうなほどの不祥事だった。
「いや、多分、倒したと思うのだが……」
実際に手を下したのは謎の少女である。
自分よりも早く攻撃を繰り出すなど、只者ではない。
名前が分からないのが、返す返すも残念だった。

☆☆☆

アイオロスとサガの会話を聞き流しながら、カノンは島を見渡した。
この島の不安定さは問題である。
しかし、何が原因で安定しないのかは、これから調査しないと分からないだろう。
島の大地だけではなく海にまで影響を与える何か。
(問題は長引きそうだな……)
海闘士の筆頭将軍はそんな事を考えた。

☆☆☆

散々怒鳴ったので、サガとしてはもう言うべきことはなかった。
だいたいにおいてアイオロスを野放しにした自分にも責任があるかもしれない。

『ここは、天に弓引く水域の女神が現れた島だからな』

以前、アイアコスが言った言葉を思い出す。
(それなら猛き水域の女神よ。こいつに一度説教をしてくれ!)
女神アテナはアイオロスに甘いので、彼は何故かその女神に頼みたくなってしまった。
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何というか……、まぁ……。
『それでは楽しみにしております』

夜の女神ニュクスに優しく微笑まれたとき、彼女はそれを“絶対に成し遂げなければならない”のだと理解した。
正直言ってそれは困難を極めそうな話なのだが……。

偉大なる夜の女神は姿を消し、明るい光が世界を包む。
昼の光を司る女神ヘーメラーが活動する時間になったのだ。
女神ヘーメラーもまた嬉しそうに微笑んでいた。

☆☆☆

「夜が明けたね」
教皇の間から外を見ると、東の空が明るくなっていた。
「もうそろそろジュネを起こすよ」
交代で仮眠をとっていたシャイナがジュネに近づく。
「おい、ジュネ」
彼女が肩に触れようとしたその瞬間、ジュネが目を覚ました。
「どうしよう!」
起きたと同時に叫ぶ仲間に、シャイナと魔鈴は何事かと注目した。
「えっ、あっ……」
ジュネが辺りを見回す。
「悪い夢でも見たのか?」
魔鈴がそう尋ねたとき、隣の部屋でも沙織たちが騒ぎ始めていた。

「何かあったのかい?」
シャイナの問いかけに、絵梨衣たちが沙織の方を見る。
沙織は少し困ったような表情をしながら答えた。

「魔女ッ子映画を作ることになりました」

その返事の意味が、シャイナと魔鈴にはよく分からなかった。
「ところで貴方はどこから来たの?」
非常に真っ当な質問をされて、アイオロスは何と答えようかと思った。
そもそもここがどこなのか分からず、海で遭難して浜辺に打ち上げられたというには身体は濡れていないし、適当な場所からやって来たというにはこの浜辺に別の場所から続く自分の足跡はない。

「すみません。よく分からないのです」

すぐにバレる嘘をつくくらいならと、正直に答える。
すると相手はちょっと困ったように微笑んだ。
「それなら人里まで案内をしてあげるわ」
「良いのですか!」
「海将軍たちに見つかると面倒なことになるからね」
彼女の言葉にアイオロスはドキリとする。
(……海側の……関係者?)
さらに彼女は言葉を続ける。
「ペガサスは────にちょっと遅れると伝言をよろしくね」
このときペガサスのアイオロスを見る目つきがかなり厳しくなった。
明らかに怒っているのが分かる。

ところが次の瞬間、海辺に得体のしれない緊張が走る。
今まで見たこともないような化け物が海から突如現れたのである。
彼は少女を守ろうとしたが、彼女の攻撃の方が早かった。
大量の海水が天へと昇り、化け物は身体をバラバラにされた。
「あぁ~あ、この騒ぎで海将軍たちに連れ戻されるわね」
落ちてくる水が大量すぎて、土砂降りの雨よりも酷いことになる
視界が悪くなり、少女とペガサスの姿が見えない。

「大丈夫ですか!」

大声を出した瞬間、彼は目を覚ました。
そして、どうして此処にいるのか分からない、しかも自分に肩を貸しているサガとカノンに「いきなり大声を出すな!」と思いっきり殴られたのだった。
突然の殺気に彼は素早くその場を離れて、体勢を建て直す。

「ペガサス! 人を踏もうとしちゃダメ!」
少女は真っ白い翼を持った美しい天馬を宥めていた。
アイオロスはここがどこなのか分からず、辺りを見回す。

(海辺……?)
しかし、デスクィーン島ではないような気がした。
あの島は少しずつ緑が戻ろうとしているが、かなり荒々しい大地が残っている。
ここは美しい浜辺だった。
遠くには神殿らしき建物が見える。

「ごめんなさいね。ペガサスったら、いつもは大人しい子なのよ」
踏まれそうになった側からすると、あまりその意見には賛成しかねた。
むしろペガサスの様子が手にとるように理解できる。
彼(?)は警戒しているのだ。
(不審者扱いらしいな)
「私の名は──。貴方の名は?」
何か言葉の上から異音が入ったかのように、少女の名はかき消されてしまう。
(???)
少女は何の疑問も持たずにアイオロスの返事を待っている。
とにかくアイオロスは正直に名乗った。

「アイオロス? “風の君”と同じ名ね」
少女は楽しそうに笑う。
その笑顔を見たとき、彼は少女が誰かに似ているような気がした。
(なんとなくセイヤの幼馴染み?に似ているような……気が……)

でも、実物はほんのちょっとしか見たことがないので、アイオロスは気のせいだと思うことにした。
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