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会場を教皇の間に移し、石の床に綺麗な絨毯を敷いてお茶会続行。
その周りにはニケにたっぷり絞られて、しょげているであろう黄金聖衣達がいた。

「ニュクス様の力添えです」
沙織はその一言で、この奇妙な状態の説明を終わらせた。
さすがに実力者である夜の女神の名を出されると、嘘だと否定は出来ない。
むしろエスメラルダと絵梨衣が一緒なので、女神エリスの嫌がらせかもしれないと思えた。
ただし、誰もそれは口にしない。

ちなみに白鳥座の聖衣は絵梨衣から片時も離れず、とても寛いでいる。

「……」
シャイナはこの異様な状態に気分が悪くなりそうだった。
山羊座の聖衣が威嚇のオーラを出しながら沙織の傍にいる。その威圧感は半端ではない。
「山羊座の聖衣については、そういう方ですから気にしなくていいです」
沙織は楽しそうに説明するが、それでも何か粗相があれば山羊座の聖衣から言葉なき説教を喰らいそうな気がするのは気のせいではないと思っている。
しかし、同胞はというとこの空気に馴染んでいるように見えた。

「魔鈴、よく平気だね」
すると少し離れたところで、獅子座の黄金聖衣を子猫扱いして遊んでいる魔鈴はアッサリと答えた。
「夢と現実の区別は付いているよ」
しかし、どう見てもシャイナには、今のこの場所が無骨な妖精郷にしか見えなかった。
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さすがに勝利の女神ニケの監査が聖衣と聖闘士の個人的事情になってくると、ユリティースも解説はしづらい。
女性陣は隣の部屋でお茶会を始めることにした。

「沙織さん、どうしてここなんですか?」
とにかく隣で行われているファンタジー劇場が気になってしかたがない。
絵梨衣は思いきって尋ねてみた。
すると沙織はティーカップを持ったままにこやかに答える。
「もう少ししたら分かります」
「えっ?」
沙織はそれ以上何も言わなかった。
しかし絵梨衣は、それが何であるのかが分かったような気がした。

そしてとにかく、無理矢理持ち寄ったお菓子やお茶の話を進めていくうちに……。

教皇の間の方で強い光が発生したかと思うと、一羽の白鳥がお茶会の席に飛び込んで絵梨衣の傍へと舞い降りたのである。
しかも、人に慣れているかの様に、彼女にベッタリとくっつく。
すると沙織が嬉しそうに言った。
「やはり所有者である聖闘士不在のとき聖衣にストレスを与えると、一番安心できる人のところへやって来ますね」

どうやら他の女性陣は、女神アテナの実験に付き合わされたようである。
「相性問題があるということですか?」
絵梨衣の質問に沙織は頷いた。
「黄金聖衣レベルになると、とにかく頑固なのです」
だからといって白銀聖衣や青銅聖衣は違うのかというと、そうとも言い切れないらしい。

何しろ白鳥座の青銅聖衣は永久凍土の中で氷河を待ち続けたし、一輝の聖衣はようやっと彼を主と認めたくらいである。

「一途というか、自分の意志を曲げないというか……」
その為、歴代の黄金聖闘士たちの考え方というのが沙織には何となく見当がついた。
ソックリではないが、何となく似ている気がするのだ。
「ただ、たまに聖衣たちが聖闘士を試すときがあるのです」
「試す?」
「自分で従っておきながら不安に駆られるのか、唆すのです。強大な力を彼らに与えて、聖闘士が変わらずにいられるかどうかを」
ただでさえ能力値が高い黄金聖闘士に、黄金聖衣がフルパワーの能力を人に与えるのだ。
どこまで彼らは正義を持ち続けられるか。
どれだけその手を血で汚しても理性を保てるか。
邪悪なことをしていても聖衣達が無条件に従うので、それなりの大義名分が彼らに与えられる。
しかし実際は、それによって聖闘士側の意志が試されるのだ。

教皇の間では、黄金聖衣たちがニケの前で萎縮しているように見えないこともない。
「ニケ様は”違うタイプにも目を向けたらどうか”と言っているみたいです……」
とはいわれても、聖衣達もそう簡単には信念?を変えられないらしい。
「もしかして、私たちの聖衣も……あのような行動をするのでしょうか?」
教皇の間で行われていることにジュネもまた驚いている。
女性聖闘士たちは己が身にまとう聖衣をまじまじと見ていた。
「聖闘士がいなければ、多分、似たようなことになるでしょう」
沙織は楽しそうにニケたちの様子を見ている。
「久しぶりの監査ですから、ニケも楽しそうです」
とは言うものの、ジュネたちには会話の内容は分からない。
何しろニケの杖と教皇の間にいる聖衣たちの周辺には光の微粒子が淡く渦巻いており、その動きで何となくニケが一方的に聖衣達に何かを言っているような気がするだけなのだ。

では、沙織以外の者には分からないのかというと、沙織の他ではユリティースが少し困ったような表情で聖衣達の様子を見ている。
「ユリティースさん、何が行われているのか分かりますか?」
絵梨衣の問いにユリティースが沙織の方を見る。
「あの……、解説してもよろしいのでしょうか?」
聖域の女神にお伺いを立ててみると、沙織はアッサリと了承した。

「聖衣の皆さんはニケ様に自分の聖闘士について説明をしています」
しかし、ニケの方はあまり聖衣達の報告を信じていないらしい。
「どうしてですか?」
意外とハードな展開に絵梨衣はドキドキしてきた。
ジュネたちに至っては、ここにいることに息苦しさを感じる。
ユリティースはどうしようかと迷ったあと、驚くべきことを告げた。

「聖衣の皆さんが、ほぼ毎回、似たようなタイプの方を自分の聖闘士と認めることが問題のようです」
教皇の間に並んでいるのは、十二体の黄金聖衣と天馬座、白鳥座の青銅聖衣(神聖衣になった過去あり)、他数体の白銀聖衣たち。
そこへ沙織がニケの杖を、教皇の座る椅子に立てかけた。

「さて、準備は整いました。私たちは隣の部屋へ行きましょう」
一緒にいた魔鈴とシャイナには、沙織の行動の意味がわからない。
しかし、それについて女神に直接は尋ねにくい。
面倒なことにならなければ良いがと、二人は思った。

そしてこのあと女性聖闘士たちは、ものすごい脱力を味わう。

なんと、この日の夜、ニケの杖がいきなり聖衣達に「尋問+説教」をし始めたのである。
ちなみに沙織とユリティース、そしてエスメラルダと絵梨衣はファンタジーを見ているような気持ちになっていた。
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